『スカイスクレイパー』の主役はザ・ロックでなくザ・パールだった!

基本情報

SKYSCRAPER ★★★
2018 スコープサイズ 102分 @Tジョイ京都

感想

■香港に建造された超高層ビル、ザ・パールで火災が発生した。家族を救出するためにビルの保安監査担当者のロック様は、炎上中のザ・パールに潜入するために警官隊を振り払い・・・
■『タワーリング・インフェルノ』と『ダイ・ハード』を足して二で割ったという意味では新鮮味はあまりない映画で、ドウェイン・ジョンソンも義足のヒーローに挑んで新境地を探るものの、中盤からはすっかりいつもの超人ぶりなのであまり有効に機能していない。脚本と監督はローソン・マーシャル・サーバーという人で、コメディ映画でロック様と組んでいたようだ。その割に本作は笑いが少ないのが残念だなあ。
■ただ、ILMが手掛けたザ・タワーのVFXが絶品で、特に炎のCGについては凄いリアリティ。この近未来的なハイテクビルのデザインや造形がこの映画の一番の楽しみで、奇抜な建築をちゃんとアクションとサスペンスの見せ場に生かしているから偉い。特に本作は立体映画としての見栄えを重視した画づくりになっているので、3Dで観るのが正解だろう。レジェンダリーピクチャーズの製作だが、親会社が中国企業なので、メインターゲットは中国市場となっているようだ。そこのところの事情は『MEG』と同様だが、ほんとにハリウッドの超大作は中国市場向けという構図がすっかり定着しているようだ。
■前半でいろいろと布石を打っておいて終盤の見せ場で拾ってゆく正攻法のスタイルだけど、これは「布石」というやつで、「伏線」とは違いますから、誤用には注意しましょう。スマホの再起動のエピソードなんてまさに、クライマックスへの「布石」であって、「伏線」ではありませんよ。何にも伏せてないですからね。
■正直なところロック様の動機が家族を救いたいというそのだけなので、キャラクターとしての魅力には乏しい。ロック様にはもっと野蛮な役柄をお願いしたいなあ。このところファミリー映画の出演が多いので、たまには『ファースター 怒りの銃弾』とか『ヘラクレス』みたいな汗臭い埃臭いやつをお願いしたいなあ。

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