ヤング≒アダルト ★★★☆

Young Adult
2011 スコープサイズ 94分
DVD

■実はライトなコメディ映画かと思っていたのだが、ギャグを繰り出す意味でのコメディ映画ではなく、実は性格劇だった。オトナになりきれない主人公のだらしない生活のディテールは容赦なく、昔の男に付きまとう姿は完全にストーカー状態だが、その姿を痛々しく描き出していくので、軽く笑える映画ではなく、所謂人間喜劇、「ドラマ」になっている。決して女性向けのライトでお洒落な恋愛喜劇などではないから、要注意。勘違い女の痛さを是でもかと抉り出す、基本的にえげつない話。だけど、監督がジェイソン・ライトマンなので品がある。

■ドラマ的には昔の男に急に執着し始める取っ掛りのあたりがイマイチ説得力に欠けるのだが、ゲイ疑惑をかけられて集団暴行を受けて下半身に障害が残った同級生を登場させて、地方都市の閉鎖性と残酷さを炙り出す。そんな腐った田舎を忌み嫌うヒロインとそれでも田舎に縛り付けられている同級生たち。彼女に彼らを見下して嘲笑する資格があるのか、と醒めた視点でヒロインを描いている。オトナになりきれない彼女の悪あがきを残酷に見つめる。でも、だからといって捨ててきた田舎と今更折り合える余地も無く、彼女は改めて自分の居場所に戻るしかなくて、そこでやっぱり悪あがきを続けることになることを匂わせる。少しばかり人間味は大きくなったかもしれないが。客観的には痛々しい悪あがきも人生には必要なものなのだと言いたげだ。実際、その悪あがきや孤独な私生活のだらしなさこそ愛おしいと、作者たちは考えているだろう。

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