から騒ぎ ★★★☆

Much Ado About Nothing
1993 ヴィスタサイズ 111分
DVD

シェイクスピアの喜劇『から騒ぎ』をケネス・ブラナーがハリウッド俳優をイタリアに招いて製作した快作。当然のことながら、ケネス・ブラナー、コメディもちゃんとできるわけで、『エージェント:ライアン』にもこの部分をもっと真正面に出しても良かったのに。

ケネス・ブラナーという人はシェイクスピア役者で著名な演劇人であるにもかかわらず、映画を撮ると非常に通俗的になるという変わった人で、コッポラ製作で撮った『フランケンシュタイン』などは今思い返してもなかなかの傑作であったが、本作はきちんとホームグラウンドのシェイクスピア劇で、それに劣らない通俗性を発揮し、単純に非常に面白い。

■ただ、ビアトリスを演じるエマ・トンプソンはあまりに演劇的過ぎで、やたらと目玉をむき出す様は単純に見苦しい。もう少し上品に演じればいいものを、このあたりの演技的コントロールが何故かあまり出来ていないのは、映画人ケネス・ブラナーとしてはいかがなものか。と思ったら、当時嫁さんだったのか!ほんまに分かりやすい人やな、ケネス!

■一方、脇役のドッグベリーを演じるマイケル・キートンもやりたい放題気味だが、こちらはかなり良い味を出している。ケネス・ブラナー自身のコメディ演技もさすがに見せるし、ケネスとエマの天敵カップルの当てこすりの子供っぽい微笑ましさが、この映画の最大の魅力であることは確か。ラストのこれ見よがしの長廻しが間抜け気味なのもご愛嬌。

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