エンド・オブ・ホワイトハウス ★★☆

OLYMPUS HAS FALLEN
2013 スコープサイズ 120分
ユナイテッドシネマ大津(SC1)

北朝鮮のテロリストに武装占拠され、大統領を人質に取られたホワイトハウス。唯一の頼みは、ただ一人生き残った元シークレットサービスの男だが、かつて大統領の妻を見殺しにした過去があり・・・

■ハリウッドのアクション映画ならではの、ホワイトハウス攻略戦の部分はさすがの大迫力と緊迫感で、面白さは保証つきといっていい。こうした大嘘をリアルに映像化できるだけでハリウッド映画は観る価値がある。ただ、後半は予想通り地味に失速してゆき、竜頭蛇尾の印象は拭えない。

■なにしろホワイトハウスの陥落後は照明の切れた室内での右往左往になるので、とにかく画面が暗い。撮影監督はコンラッド・ホールで、あの名手コンラッド・L・ホールの息子なのだが、後半はあまりにも暗すぎる。いまどき珍しくアリを使ったフィルム撮影で、暗い照明は意欲の現われではあるだろうが、アクション映画にこうした深刻な暗さは不要だ。なにしろ、誰がどう動いて何をしているのかが、一目瞭然でなければアクション映画のカタルシスは得られないからだ。

■しかも主演がジェラルド・バトラーなので、どうしても画面が地味になる。大統領夫人を事故で見殺しにしてから現場を離れてデスクワークをしているが、ひと暴れしたくてうずうずしているという本音の部分をもっと豪快なユーモアで解消したほうが観ていて楽しいはずだが、この配役ではどうも乗れない。これがセガール主演だったら、もっと楽しい映画になっていたはずだ。

■脚本の弱さが後半の失速の原因で、大統領の息子の救出というエピソードも案外捻りが無いし、その後のケルベロス計画についても、画面的にはディスプレイが点滅するだけで尻すぼみ感が否めない。ケルベロス計画の真の狙いには、フクシマ以降の日本の状況を踏まえた批評性が感じられるので、単なるバカ映画ではないのだが、大統領役のアーロン・エッカートも大統領代行になるモーガン・フリーマンも見せ所が無いのは、やはり脚本の未熟さゆえだと思う。

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