あまりに下品な河内弁の応酬に頭がクラクラ…の快作『河内ぞろ どけち虫』

基本情報

河内ぞろ どケチ虫 ★★★
1964 スコープサイズ(モノクロ) 103分 @アマプラ
企画:高木雅行 原作:今東光 脚本:笠原良三 撮影:荻原憲治 照明:熊谷秀夫 美術:千葉和彦 音楽:伊部晴美 監督:舛田利雄

感想

■河内の農村に生まれた三兄弟は寄ると必ず盛大な口喧嘩が始まって、地元の名物となった。やがてそれぞれやくざな道に進むと、長男は放出(はなてん)の親分と呼ばれるが、近隣のやくざ者が賭場荒らしを始めると。。。

■いかにも今東光らしい地べたを這いずる庶民のバイタリティを、えげつない河内言葉の応酬でコテコテに描く快作。舛田利雄が傑作『赤いハンカチ』の次に撮った映画で、それなりに大作仕様で、現地ロケも行われているし、荻原憲治のキャメラワークが素晴らしく、見応えがある。

■河内ぞろと呼ばれる三兄弟を宍戸錠川地民夫山内賢が演じて、口跡が悪い宍戸錠が結構苦労しているが、他の二人は持ち前の器用さをみせて好演する。特に川地民夫は、ほぼ地に見えるし、後に東映でチンピラ役を演じるのも納得のはまり役。

■三兄弟の因業親父が伊藤雄之助で、ドケチ虫の名がふさわしい吝嗇ぶり。あくどさ全開の臭い演技が見どころ。その嬶が笠置シズ子というのが珍しく、伊藤雄之助と並ぶと薄口に見える。最後の敵役として登場するのが小高雄二で、まだやくざ演技も板についておらず、見せ場もないし、なんだか気の毒な役どころ。

■荻原憲治のキャメラワークは『父と娘の歌』でも優れたグラフィックなセンスを確認したところだが、本作は正反対にロケ地のリアルな埃っぽさを映し出す。それに手持ちではなく、クレーンを駆使した流麗なキャメラワークが基調で、カットを割らずに1カットのなかで流れるように構図が変化してゆく高度なキャメラワークを見せる。もっと静的な画作りの人かと思ったら、舛田利雄と組むと、タッチも変化するのだ。

■最初からシリーズ化ありきの企画らしく、終盤のカタルシスは中途半端で、そのまま第二部に接合するようだ。そこは勿体ないと思う。

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