NINE  ★★★

NINE
2010 スコープサイズ 118分
ユナイテッドシネマ大津(SC3)

NINE
■この映画、というか原作ミュージカル舞台からして、フェリーニの「8 1/2」のリメイクだと思うのだが、どうもクレジットにはなかったような気がする。個人的にはフェリーニの映画はよくわからんので、むしろ本作の方が単純に面白い。物語は非常に単純で、しかも非常に特異なテーマ、人物設定を扱っているので、正直普通の観客にはあまり感情移入の余地が無いのだが、ミュージカルとしての面白みで2時間あまり退屈はさせない。
■特に”Be Italian”とか”cinema italiano”のナンバーは素晴らしい見せ場で、これらの場面だけでミュージカル映画を十分に堪能することができる。ニコール・キッドマンは顔見世程度で、実質的に活躍するのは、ペネロペ・クルスが中心。
■撮影監督はディオン・ビーブで、あのカルト傑作「リベリオン」をはじめ「コラテラル」「SAYURI」といった、結構守備範囲の広いキャメラマンだが、本作もフジフィルムを使って、華麗でありながら比較的浅い色調の、さらっとした画調を打ち出して、デジタル映画に辟易する昨今のハリウッド映画のなかでは、撮りきり度の高い映画となっているようだ。普通のフィルム映画の味を堪能させてもらったので、それだけでも結構ポイントが高い。

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