『アウターリミッツ』S2「ウルトラ人間」「ガラスの手を持つ男」「沈黙の叫び」

「ウルトラ人間」Expanding Human

■CE剤という薬を飲んで感覚と肉体が進化した科学者が無意識のうちに犯罪をおかすという、ありふれたお話なので、凡作。

■CE剤はドラッグとかマジックマッシュルームによる意識変性をストレートに想起させ、なんだかそのまんまという印象。演技陣は真面目に演じているので、悪い気はしないけど。

ガラスの手を持つ男」Demon with a Glass Hand

■地上で目覚めた男はガラスの手を持っていた。それは一種のコンピュータで、欠けた3本の指をカイバン星人から取り戻すと、1000年先の未来で起こったカイバン星人の侵略戦争から避難した人類7億人の行方がわかるという。。。

ハーラン・エリスンが脚本を書いたSF活劇で、本シリーズとしては異色作。もともとはSFを怪奇映画的なニュアンスで描くのが基本的な作風だったが、S2になってかなり作風の幅が広がったため、異色作や傑作が生まれた。もちろん、S1に比べて低予算化しているけど、内容的には進化を遂げている。

■本作は有名なブラッドベリ・アパートでのロケ撮影メインで、異星人の造形も実に安上がり。ガラスの指を取り戻すにつれ、未来世界の謎が明かされるという、ある意味シンプルな(ゲーム的な)展開。

■原作者が『ターミネーター』にパクられたと訴えたので有名だけど、そんなに似ているかな。本エピソードと「38世紀から来た兵士」のあわせ技で訴えたらしいけど。むしろ、『ブレードランナー』に影響を与えたように見える。その意味では、影響力の大きさで非常に重要作ですね。個人的には、怪奇映画風味の味付けが好きなので、あまり乗れません。アイディアとかラストの孤愁のニュアンスとか、監督はバイロン・ハスキンだし、さすがよくできているのは確かだけど。

「沈黙の叫び」Cry of Silence<秀作>

■何かが空から落ちた谷間の地で、風もないのに枯れ草が転がって人を襲い、カエルの大群が押し寄せ、大岩が農家を襲撃する。谷間の農家に保護された中年夫婦は農夫から、これまでの異様な出来事を聞き出すが、落石で死んだはずの農夫が生ける屍として戻って来る。。。

■原作はルイス・シャーボノーという人で、「この地球のどこにも」「コンピューターの身代金」などの訳書があるらしい。昔観たきりだったけど、なぜか印象に残るお話で、『アウターリミッツ』らしいグロテスクな作り物は出てこないけど、非常にSF的だし、サスペンスだし、改めて良いと思う。S2なので、撮影はコンラッド・ホールではなくケネス・ピーチで、あまり怪奇風味は生きていないけど、悪くない。監督は、チャールズ・ハース。

■宇宙からやってきた知性体がなぜか枯れ草に乗り移ったり、ガマガエルに憑依したり、頓珍漢な行動を取り続けると、主人公のおじさんは、きっと何か言いたいことがあるに違いないと、自分自身に催眠術をかけて、憑依させて、その言葉を聞こうとする。その結果、宇宙生命は色々と人間に話しかけようとしたけど、誰にも届かず「沈黙の叫び」となってしまったことを知る。でも、そのせっかくの発言の記録は、こんなもの誰も信じやしないと破り捨ててしまうおじさん。。。

■主人公の夫婦は、俺達は1時間で家に帰れるけど、彼らは何万年かかるんだろうと、ふと述懐する。一瞬成立した宇宙生命との交流だけど、それは人間にとってはまるで聖書に描かれたような怪奇現象で、それ以上進展することもなく、宇宙の果からやってきた不器用すぎる彼らは何も得られずに帰還する。なんともやるせない「未知との遭遇」なのだ。これぞシニカルな大人の味?

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