沖縄問題は日本の差別問題!『沖縄について私たちが知っておきたいこと』

■十代の若者向けのちくまプリマー新書シリーズなので、サクッと読みやすいので、老眼で目が霞むシニア層にもオススメです。本書も、ライトな読まれ方を想定していると思いますが、内容は結構過激です。というか、かなり過激なのでビックリです。本土人土人じゃないよ!)は気楽に沖縄に来るな!と言ってます。

■一番肝になるのは、沖縄問題は、煎じ詰めれば差別問題だということ。実際、そのとおりだと思います。日本にも米国にもとことん搾取された歴史があり、個人的には琉球は昔のように独立するのが望ましいとすら思います。琉球として独立して、米軍基地を撤去して、跡地に国連施設を誘致するなんて、アイディアもあったなあ。でも、いいアイディアだと思います。誰か、SF小説書かないかなあ。

■国連の人種差別撤廃委員会とか、自由権規約委員会から、沖縄の現状及びその歴史からして、先住民族に対する差別だから是正するよう、日本政府に何度も勧告されているけど、政府は誠実な対応をしない。先住民族として認めると、米軍基地を移設しないといけなくなるから、あくまで認めない立場。アイヌ民族については認めたのに。(ちなみに、いくつかの旧帝国大学では戦前に人類学資料として収集したアイヌの遺骨をいまだに返還しようとしません。ひどいね。)

■そもそも、日本には少なくとも3つの王朝があって、アイヌ、日本(京都)、琉球のそれぞれの国があった(@網野善彦)。でもそのことをなかなか素直には認めたくない層が存在する。侵略と搾取の歴史を暴かれると不都合だし、とにかく物事を複雑にしたくなくて、効率的に単純化して処理したい、だからなかったことにするのが一番と考えたい層がね。金城哲夫は故郷琉球を思いながら、琉球民族は日本に侵略された先住民族だとの思いで、「ノンマルトの使者」を書きましたけどね。まあ、よく本が通ったなあと思いますけど、むしろベトナム戦争たけなわの当時の方が沖縄問題は日本人が当たり前に考えるべき今ここにある問題で、タブーなんかじゃないという認識が共有されていたのかも。

■いまや沖縄の基地問題は本土ではかなりタブー扱いで、蒸し返すなよという雰囲気。沖縄では当然トップ記事なのにね。それどころか、台湾危機を煽って、南西諸島を軍事要塞化しつつある。沖縄問題は日本の戦後問題の核心であり続ける。いったいいつまで?

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