黒の爆走 ★★★

黒の爆走
1964 スコープサイズ 78分
KBS京都録画
脚本■舟橋和郎、小滝光郎
撮影■中川芳久 照明■柴田恒吉
美術■間野重雄 音楽■池野成
監督■富本壮吉

■スピード違反のバイカーが子供を轢き逃げした。深追いの批判を受けながら、白バイ警官はバイカーグループに潜入捜査を試みるが・・・

■黒のシリーズ7作目。異様に短い。カット版かと思ったが、ほぼノーカットだったらしい。物語は単純で、セット撮影が少なく、ロケでバイクアクションを見せる低予算作品だが、なかなか微笑ましいB級犯罪映画。最初は黒のシリーズらしい社会派映画的な暗い深刻なタッチだが、主人公のキャラが徐々に軽妙に変化していき、いつ正体がばれるかという潜入捜査もののサスペンスが際立ってくる。

■黒のシリーズにしては犯罪のスケール自体が非常にささやかなのだが、バイクアクションのサスペンスがちゃんと機能しており、終盤で正体に気づいたバイカーの一員を叩きのめすが、正気づいて主人公の後から追撃してくる場面のサスペンスは、見ものだ。スクリーンプロセスはいただけないが、ロケ撮影は見事なのものだ。大辻伺郎コメディリリーフも珍妙で、単純に楽しい。キャメラ大映東京撮影所の名手、中川芳久なので、セット撮影の黒々と沈んだ質感の表出は見事。シネスコサイズの構図の決め方もカッコいい。

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