奪還 アルカトラズ ★★★

HALF PAST DEAD
2002 ヴィスタサイズ 99分
DVD

奪還DAKKAN-アルカトラズー [DVD]
■いわゆる”セガール映画”と呼ばれる(そんなジャンルあるのか)アクション映画だが、これは十分に面白い。当然、低予算なので、旧東ドイツの、かつてユダヤ人を収容したと謂われる古い刑務所をロケセットとして使用して突貫作業で撮影された、B級というか、ほとんどC級に近い映画だが、活劇魂はあくまで純粋で誠実だ。もともとはセガール映画としての企画ではなく、監督のドン・マイケル・ポールが昔書いてスタジオに送っていた脚本が採用されたものなので、セガール映画流の間に合わせ脚本とは一味違うのだ。
■製作中に9・11が発生したので、血なまぐさいリアルな描写は避けて軽妙なタッチに変更したとか、アルカトラズの空撮カットは、友達のマイケル・ベイの持っていた「ザ・ロック」の未使用ストックフィルムを使わせてもらったとか、涙ぐましいやりくりを監督が語っているが、ひねりの効いた脚本だし、演出と編集にはサービス精神が横溢しているし、見た目は安いが、観ていて非常に心地よい。
■アクション監督には香港でジェット・リーの吹替えを務めていたというシン・シン・シャンがあたり、マトリックス風に長いコートを羽織ったニア・ピープルスが吹替え無しのハードアクションを演じてみせる。香港の女優以外でここまでアクションを真っ正直に(編集に頼らず)演じた女優はいないのではないか。御大セガールのアクションの見せ場も多くはないが、目にも止まらぬ(!)合気道セガール拳と大柄(ドン柄とも)の体格を生かしたブン投げは堪能できる。
■体技の見せ場としては「沈黙の聖戦」の方が多彩で、香港映画流のアクションの工夫も多いが、軽快なアクション映画としては本作も十分楽しい。監督はブレット・ラトナーあたりを意識したのかもしれないな。

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