砂と霧の家 ★★★☆

HOUSE OF SAND AND FOG
2003 ヴィスタサイズ 126分
BS2録画

■役所の手違いで家を差し押さえられ、競売されてホームレスになった娘は、家の購入者、イラン革命で亡命してきた一家に明け渡しを懇願するが、保安官代理である娘の恋人が介入すると、事件は不穏な方向に急展開してゆく・・・

■文芸映画かと思いきや、物語は些細な日常的な行き違いが大きな悲劇を招来するサスペンスであり、陰影の強い映像設計も含めて考えると、これはどう見てもホラーに近い。タイトルロールの”家”は紛れも無い幽霊屋敷であり、悪魔の棲む家であろう。

■特に登場人物の行動については、冷静に考えれば浅はかな部分が少なくなく、善良ではあるが愚かな人物に見えてしまう。その些細な日常的な判断の甘さや怠惰さが、積み重なって悲劇を招いているところが、物語の怖さになっているとも言えよう。特に、ヒロインを演じるジェニファー・コネリーはいい演技だし、ダメな娘をリアルに演じている。

■また、ロジャー・ディーキンスキャメラは絶品で、コントラストの強い照明効果と濃厚な色調のフィルム撮影は、映画の醍醐味を味わわせてくれる。この人、ほんとにいい仕事するなあ。現代随一の名撮影監督だ。音楽がジェームス・ホーナーで、感動系の楽曲をつけているのだが、ホラー、サスペンス系の楽曲に差し替えると、立派なホラー映画の出来上がりとなるだろう。

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