The Life Before Her Eyes
2008 スコープサイズ 90分
DVD
■『砂と霧の家』でやるせない悲劇を流麗に描いたヴァディム・パールマンの第2作で、期待を裏切らない、実質的には非常によくできた、スリラー。終盤の種明かしは、途中でおおよそ見当がつくようになっているが、この監督ほんとに上手い。基本的にサスペンスとかスリラー志向の人だと思うが、文芸映画なみの丁寧な演技指導と心理描写で、型どおりのサスペンスとかスリラーの枠に嵌らない映画を作ってくれる。本作もまさにそんな異色の一作。
■コロンバイン高校銃乱射事件をモチーフに、どちらかが死ね!と銃を突きつけられた2人の女子高生のその後の人生を描くと見せかけて・・・という企みに企んだ映画。まあ、騙されたと思って、予備知識なしで観ることをお奨めする。
■正直、似た趣向の映画はジャンル映画にそれなりに何本もあるけど、その中でもドラマのクオリティの高さでは群を抜いている。『砂と霧の家』を撮り、本作を撮るヴァディム・パールマンという人には嫉妬しか感じない。ジャンル映画のドラマ的クオリティを突き詰めたところ、ジャンル映画に見えなくなってしまったという、一種の悲劇の主人公。おかげで、なかなか新作が撮れないのよ。