沈黙の聖戦 ★★★

BELLY OF THE BEAST
2003 ヴィスタサイズ カット版
朝日放送録画

セガール拳がタイで大暴れ。監督は香港からやってきたチン・シウトン。「少林サッカー」「HERO」「LOVERS」のアクション監督だが、監督作は超B級(製作費)。しかも、全編セガール印のアジア風味が満載。本人はなぜか作務衣を着てタイに乗り込む。

■過去に誤って一般人を射殺した相棒は僧院で仏法僧になっており、助成には及ばないと言ったのに、セガールのもとへ駆けつけて、不思議に美しいラストシーンを導き出す役割を定番どおりに担う。全てが予定調和、神の摂理に運命付けられており、宇宙は整然と運行する。

チン・シウトンが演出なので、アクションはキレがいいが、セガール御大は呑み過ぎでのせいでお腹でっぷり、基本的に動けないので、派手なアクションはほとんど吹替え。セガール拳でぶっ飛ばされるチンピラがワイヤーで派手に飛んでいくのが微笑ましい。動けないセガールを使って、クライマックスはきっちりとド派手な肉弾戦を見せるあたり、さすがはチン・シウトンと言っておこう。

■場所がタイだけに、偉いお坊さんがラストに大活躍し、魔道師と静かに対決するあたりは、もう形容のしようのない面白さ。本来、アクション映画というものは、これくらいの緩さがちょうどいい頃合なのだ。ハリウッドの様々な地球資源を浪費しながら製作する超大作がどんどんアクション映画にインフレを起こしてしまうものだから、みんなアクション映画の本来の姿、醍醐味を見失ってしまっているのだ。ラストシーンの静謐さがそんなことを思い出させてくれたよ。

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