草の乱 ★★☆

草の乱 [DVD]
草の乱
2004 ヴィスタサイズ 118分
DVD
脚本■加藤伸代
撮影■伊藤嘉宏 照明■小林芳雄
美術■春木章 音楽■Deep Forest
VFX■大屋哲男
監督■神山征二郎

明治16年、埼玉県秩父郡で高利貸しに苦しむ養蚕農家の若者と専制政府転覆を期す自由党のメンバーが秩父困民党を設立する。自由党が解党に追い込まれた後、困民党単独で決起することを決定、高利貸しの打ち壊しを決行するが、官憲と戦闘状態に陥る・・・
■事件後北海道に逃げ延び、33年間正体を偽って暮らしたという井上伝蔵(緒形直人)の回想で事件の顛末が語られるのだが、これまた登場人物平等主義の事件羅列シナリオで、劇的な盛り上がりに欠ける。緒形直人の演技は相変わらず一本調子で、林隆三田中好子杉本哲太、田中実、堀内正美といったそれなりににぎやかな面々を揃えながら、林隆三が困民党総理の田代栄助を演じて貫禄を見せる程度で、役者が生かされていない。
■映画の後半は戦争映画と化し、官憲との戦闘をモブシーンで描き出してゆくのだが、何がしかのサスペンスがあるかといえば、昔の日本映画の大作風の冗長なメリハリの無いシーンが続くだけ。
■確か「ゴジラ(84)」「さよならジュピター」を監督した橋本幸治が秩父困民党の事件を映画化したいと語っていたのだが、彼がプロデューした「ひめゆりの塔」の監督に神山征二郎を起用したときに、そんな話が二人の間で交わされたのではないだろうか。2005年に急死した橋本幸治は、生前にこの映画をどう観たのだろうか。

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