白い手
1990 ヴィスタサイズ 100分
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原作■椎名誠 脚本■佐藤繁子
撮影■飯村雅彦 照明■梅谷茂
美術■北川弘 音楽■国吉良一
監督■神山征二郎
■原作もので、脚本も部外者(身内のスタッフではないという意味で)が書いているので、良いのかと思いきや、どうも素直に褒められない映画である。「ふるさと」で地元の小学生からみごとなキャスティングをしてみせた神山征二郎なので、ここでも子供の演出に期待を抱かされるが、主演の少年はなかなか達者な演技を見せるものの、映画としての核が腑に落ちない。
■ことに良くないのは、哀川翔と南野陽子のロマンスの部分で、そもそも哀川翔が働いている海岸のトロッコ列車はいったい何の現場なのかすらはっきりと描かれないし、描きようも陳腐だ。洋館からのぞく白い手というビジュアルのファンタジックなイメージも、神山征二郎向きとはいえない。桜田淳子の祭りの夜のエピソードも中途半端で終わっているし、どうも脚本に不備がある気がするなあ。君もあの子が好きだったんだね、という締めの台詞も、観客はそんなこととうに知っているわけだから、今更何言ってるのかという気になってしまう。
■神山征二郎にしては珍しく、いきなりウンチを漏らす事件から始まって下品な描写も多く、東映東京撮影所で撮っただけのことはあるが、あまり資質には合っていないのではないか。南野陽子はなかなか頑張っていたけどね。