オトシモノ ★★

オトシモノ [DVD]オトシモノ
2006 ヴィスタサイズ 94分
DVD
脚本■古澤健、田中江里夏
撮影■水口智之 照明■関輝久
美術■丸尾知行 音楽■林祐介
VFXスーパーバイザー■長谷川靖
監督■古澤健

 地下鉄の駅でオトシモノを拾った者たちが失踪する。妹が失踪した姉(沢尻エリカ)が謎を追う内、同じクラスのヤンキー娘(若槻千夏)も彼氏を喪っていることを知り、協力することを誓う。地下鉄にまつわる秘密の一端を知っているらしい駅員(小栗旬)を問い詰めるが・・・
 噂だけは聞いていた異色作(?)だが、噂に違わぬ怪作だ。撮影はデジタルビデオで、いかにもビデオ撮影をフィルムルックに変換した画調だが、「ドッペルゲンガー」でデジタルビデオ撮影を使い切った水口智之だから、DVDよりも劇場で観ないと本当に狙った画調は確認できないのだろう。
 実際の話、ホラーと女子高生の友情物語を強引に融合し、さらに地下鉄の路線を迂回せざるをえないほどヤバイものが地下に埋まっているというギミックを綯い交ぜにして、という盛りだくさんのお話を、筋道は理解できるように構成されているのだが、細部については、それこそツッコミどころ満載で、謎が謎を呼び、なんでやねん!の大合唱を呼ぶ。
 監督自身はある程度承知の上でそうしているのだが、正直、観ていて間延びする部分が多く、鑑賞は苦痛を伴う。沢尻と若槻の友情物語なんて、恥ずかしくて見てられない。
 クライマックスはなぜかインディ・ジョーンズ並の(?)地下世界での冒険譚に変貌し、見ているほうは頭を抱えてしまう。ロバート・ハーモンの「インプラント」がとてつもない傑作(実際、途中まではなかなかの傑作なのだが)に思えてくるから不思議だ。

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