ウルトラミラクルラブストーリー
2009 ヴィスタサイズ 120分
MOVIX京都(SC8)
脚本■横浜聡子
撮影■近藤龍人 照明■藤井勇
美術■杉本亮 音楽■大友良英
VFXプロデューサー■浅野秀二
監督■横浜聡子
■最近、若手の女性監督が多数デビューしているが、たまに生理的に気持ち悪い映画を撮る監督がいて困ることがある。河瀬直美もそうだし、西川美和にしても「蛇イチゴ」などがちょっとそんな感じだ。しかし、ここの最強グロテスク女性監督が出現したよ。正直、あまりの生理的な気持ち悪さに観た事を後悔し、食欲が減退した。横浜聡子、いったい何を考えているのか、そして、誰か暴走を止める大人はいなかったのか、謎が謎を呼ぶ。しかも文化庁から金銭的支援まで受けているのは、いくら税金ではなく基金から出資されているとはいえ、国民の一人として疑問を投げかけたいよ。
■主演の松山ケンイチは脳に先天的な障害があり常に狂騒状態にあるため、その登場から常に異様な行動をとり続け、何故か農薬を浴びると気持ちが落ち着くことを発見し、自分は進化していると感じるが、当然のことながら身体が蝕まれてゆく・・・って、このストーリーラインだけで、普通ダメでしょう。常識的に考えて娯楽映画に盛り込むべき素材ではない。先天的な障害の扱い方に倫理観が欠如しているし、農薬の劇化上での扱い方にも倫理観が感じられない。この監督、常識を無視している、というか単に常識が無いのではないか。出資者も、誰もチェックしなかったのか、この脚本。いっそのこと、始めから「ザ・フライ」のようなホラー映画として作れば、辛うじて寓意が成立するかもしれないが、これじゃ青森って、マジカルな人外魔境かと思うよ。
■ラストカットを含めて麻生久美子が演技的にいいものを見せるので、☆をつけたが、麻生久美子出なければ、星無しがいいところだ。麻生久美子だけが映画の中で常識の通用する人物なのだ。色あせた色調から明らかにビデオ撮影とわかる撮影は近藤龍人だが、これは感心しないなあ。