妙にハイセンスなジャズ映画『セクシー地帯』

基本情報

セクシー地帯 ★★★
1961 スコープサイズ 82分 @アマゾンプライムビデオ
企画:佐川滉 脚本:石井輝男 撮影:須藤登 照明:岡庭正隆 美術:宇寿山武夫 音楽:平岡精二 監督:石井輝男

感想

■お話はもう覚えちゃいませんがね、とにかくHDリマスターが見事で、即興的なモノクロ撮影が妙に立派なルックに見えてしまうことが今となっては貴重な犯罪ノワール。多分、封切り当時の劇場でのルックはもっとざらついた乾いたタッチのモノクロ映像だったろうと想像する。最近はリマスター技術の向上と、ディスプレイ側のハイテク映像補正があいまって、妙にピカピカで艷やかにみえてしまうから、誤解を生じるよね。新東宝だから、もっと貧乏くさかったはず!(偏見かな)

■平岡精二のまさに即興的なジャズ演奏が全編で大活躍、吉田輝雄が歌舞伎町(?)の路地を彷徨い歩く場面の演奏の熱気とモノクロ撮影のモンタージュの見事さは石井輝男ならではのハイセンスな名場面。当時みんなこんな感じでクールに撮りたかったはずだが、実際にできたのは石井輝男くらいのもの。ほんとに才能の塊なのだ、このひと。

■許嫁の娘が貿易会社のタイピストと思ったら、実は特殊接待用のコールガールだったという乙な設定にグッと来るわけだけど、コールガール組織が表向きはクロッキークラブといって、おじさんたちが女性モデルをクロッキーで写生する(ふりをしながら指名する)という当時の謎の組織。と思ったら、今でもあるらしいですよ!!ううん、色んな意味で、奥深いなあ。

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