舞妓Haaaan!!! ★★★

舞妓Haaaan!!!
2007 ヴィスタサイズ 120分
TOHOシネマズ二条(SC10)
脚本■宮藤官九郎
撮影■藤石修 照明■長田達也
美術■清水剛 音楽■岩代太郎
VFXスーパーバイザー■小田一生
監督■水田伸生


 舞妓しか愛せないマニアなサラリーマン(阿部サダヲ)は恋人富士子(柴咲コウ)を振って京都支社に異動。一見さんお断りのお茶屋に相応しい男になるべくモーレツ社員に変身してヒット商品を生み出す。一方、彼のことが忘れられない富士子は京都で芸妓に入門して舞妓になるべく修行を始めるが・・・

 阿部サダヲが主演を張って、ワンマンショーを展開する怪作。阿部サダヲのエピソードには東宝伝統のサラリーマン喜劇が援用され、それゆえ植木等も1シーン登場する。もちろんミュージカル場面もある(植木等は登場しないよ!)が、コメディ場面にしても、ミュージカルにしても、監督のセンスに適性が無いものと見えて、一向に弾けない。古澤憲吾を目指すべき映画なのに、古澤憲吾になりきれず、坪島孝の映画ほど脚本が堅牢ではないという不自由な映画だ。

 阿部サダヲが心を寄せる駒子を「帰ってきた時効警察」の間加出くんこと小出早織が好演しており、配役的には柴咲コウと同格の扱い。大役を余裕でこなしているから驚く。

 阿部サダヲは徹底的に意識的にヤリスギで突っ走り、受ける堤真一も関西人の血を滾らせてコテコテのキャラクターを熱演。その濃さは往年の昭和俳優たちを思わせる。

 因みに岩代太郎の主題曲はゴッドファーザーに似すぎではないか。著作権は本当に大丈夫だったのか。そんなところが妙に心配になる植木等の遺作である。合掌。

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