DEATH NOTE
2006 ヴィスタサイズ 119分
ユナイテッドシネマ大津(SC1)
原作■大場つぐみ、小畑健 脚本■大石哲也
撮影■ 高瀬比呂志 照明■渡邊孝一
美術■ 及川 一 音楽■ 川井憲治
VFXプロデューサー■豊嶋勇作 VFXディレクター■土井淳
監督■金子修介
死神が落としたデスノートを拾った月(藤原竜也)は、法で裁けない犯罪者たちの名前をそのノートに書くことで次々と殺してゆき、正義の執行者キラとして崇められてゆく。前代未聞の連続殺人事件として捜査する警視庁は謎の名探偵L(松山ケンイチ)の推理をもとに犯人像を絞り込んでゆき、月の周囲にはFBI捜査官の影が・・・
人気原作マンガは読んだ事が無いが、デスノートの使用ルールのもと、物語はかなり変更されているらしい。日本映画では珍しいゲーム性豊かなサスペンス劇となっており、原作を知らなくても十分楽しめる、なかなかの快作。ガメラ、ゴジラ、ウルトラマンと近年特定ジャンルに傾斜を強めていた金子修介だが、もともとはバランス感覚の優れた娯楽映画作家であり、本作で久々に本領を正しく発揮したといえる。古巣の日活撮影所が映画制作を受注しており、撮影所の映画制作のノウハウの確かさを見せ付ける。
キャラクターは適度にマンガ的でありながら、藤原竜也も松山ケンイチも、その役者としての素材の良さがきちんと発揮されており、演技的にも良質。確かな演技力が物語世界のマンガ性に説得力をもたらしている。法で裁けない犯罪者の処罰というモチーフは、金子修介が「クロス・ファイア」でもこだわったテーマだが、ここでもかなり執着している。
VFXはデジタル・フロンティアが担当し、死神リュークを多分フルCGで制作しているが、これはリアリティ云々を超越したキャラクターだから、質感の甘さは織り込み済みということだろう。
興行的にも大ヒットらしいし、金子修介がまた一回り成長したことを素直に喜びたい。俺ガメラや俺ゴジラに精を出しているよりも、こうした一般観客に容易に通用する間口の広い娯楽映画を手掛けるほうが、金子修介の個性が正しく発揮されるように思うぞ。