基本情報
山口組外伝 九州侵攻作戦 ★★★
1974 スコープサイズ 106分 @DVD
企画:日下部五朗、田岡満、今川行雄、橋本慶一 脚本:高田宏治 撮影:山岸長樹 照明:中山治雄 美術:富田治郎 音楽:八木正生 監督:山下耕作
感想
■タイトルは「山口組外伝」がメインタイトルで、「九州侵攻作戦」はサブタイトル。当時は、実録路線で山口組関係者の組織的動員を当て込んで、山口組の絡んだ事件を映画化したけど、劇中では仮名になっているという、謎仕様。まあ、警察対応でしょうか。東映が堂々とアウトロー企業であった頃のお話。まあ、他の一流企業もこっそりアングラ経済と手を結んでいた時代なので、東映に限った話ではないけど。超大作扱いで、妙に豪華配役。創造社ユニット(佐藤慶、渡辺文雄、戸浦六宏)も珍しいし、志村喬まで出る。
■伝説のヤクザ夜桜銀次の昭和32年から昭和38年の動向を追った実録映画で、別府事件で暴れて、大阪に流れ、柳川組に身を寄せて明友会事件の「人間狩り」にも参画して、福岡に戻ると地元のイザコザで虐殺される(博多事件)けど、これを契機として山口組の九州侵攻が始まる。。。
■劇中では、柳川組=大東組、明友会=双竜会、山口組=兵頭組というふうに読み替えるわけですね。この頃の東映は明友会事件が大好きで、何度も繰り返し描かれる。本作の双竜会はちゃんと韓国語を話すから、リアルだね。お前はキタか?ミナミか?九州は同胞が多いと聞いてるで。
■いわば、三大事件をぶち込んで構成したお話だけど、実際に盛り上がるのは終盤の博多事件あたりで、志村喬も登場するし、渡辺文雄、津川雅彦らが活躍する。ただ、夜桜銀次の人間性というか、考えがよくわからないので、単なる粗暴なヤクネタ(疫病神)でしかない気がする。なので、終盤にかなり無理矢理に、あれは大した男だとか津川が言い出すけど、かなり無理がある。取って付けた感が否めない。これのおかげで、ラストの津川の名台詞が生まれたのだけど、ホントのところかなり無理矢理なまとめ方だなあ。とことんヤクネタの厄介者だったけど、殺されたことで皮肉にも見事な死に花を咲かせたよなあ、という話ならなんとなくわかるけど。
■銀次に拾われた粗暴な青年(渡瀬恒彦!)が銀次を継いでゆく構成は、まあ実録ではなくて、純粋な創作だろう。分かりやすいけど、何を継承したのか、その内実がない気がする。東映らしい「反逆精神」「反骨精神」というわけでもなさそうだし、なんだか割り切れない。銀次が植えたという薔薇の鉢植えに埋められた拳銃数丁というところが、その具象として工夫の跡が見られるけど。足りないのは、演出の工夫かなあ。
■ちなみにこの頃、堀越陽子(さいしょは「光恵」だった)が、下品すぎて具体的には書けない極めて雑な扱いで、厚化粧なホステス役とかで出てくるけど、よくぞTVでブレイクしたよなあ。普通は消えるよね、あの扱いじゃ。でも活躍期間は意外と短いのね。
■そうそう、劇中で神戸の大組織の看板があれば銀行はなんぼでも金貸すさかいな、という当時のやばい実態をさらっと描いているあたりに実録の意義があるような気もする。まあ、昔から銀行って、そんなもんらしい。本当ならこのあたりをズバリと腑分けして描くべきだけど、銀行の深奥の暗闇には手を出せないわけですね。東映だって、金借りないといけないから。
