いわずと知れた(?)人気コミックを「インファナル・アフェア」の監督チームが日本ロケで完成させた話題作で、東南アジア各国でヒットを飛ばしているのだが、正直なところ「インファナル・アフェア」の濃いドラマ性を期待すると肩透かしを食うことになる。あくまでコミックの雰囲気を上手に写し取っただけの、B級アクション映画であり、かなり粗雑な作りである。
なんと言っても難点は、ドラマ性が薄く、しかも物語のエピソードが決着していない点の消化不良感によるところが大きく、さらに言えばやたらとコマを伸ばしたり、止めたりするデジタル編集のギミックの使いすぎで単純に見づらいということも挙げられるだろう。
おまけに近年の香港映画の悪い癖で何かといえば反吐をつく汚い描写が輪をかけて映画の格を貶めている。
高橋レーシングチームが担当した峠のドリフト走行シーンは、好きな者には堪らないのかもしれないが、峠道を最速で走りきることにどれほどの意味があるのか、一般人には理解しがたいものである。それを言っちゃあ、お終いというものだが、興味の無い者を納得させるドラマを構築してこそ、こうした映画は本当の成功を収めることができるはずだ。
スピードバトルの演出についても、正直言って「ワイルド・スピード」のほうがよく撮れていたと思うぞ。