大東亜戦争と国際裁判 ★★★

大東亜戦争と国際裁判 [DVD]大東亜戦争と国際裁判
1959 スタンダードトリミング版
レンタルV

脚本■館岡謙之助
撮影■岡戸嘉外 照明■関川次郎
美術■鳥居塚誠一 音楽■小沢秀夫
監督■小森白


 太平洋戦争の終結後、東京裁判にその戦争犯罪を問われたA級戦犯たちと、連合国の検事との間に激烈な論戦が展開されるという、新東宝とは思えないほどに硬派な実録映画の佳作。
 東条英機嵐寛寿郎が演じて、小林桂樹丹波哲郎とは異なった誠実さと実直さが強調され、貫禄ある武人としての姿が強調されているように見える。
 映画は東京裁判の再現にまじめに取り組んでおり、新東宝らしいキワモノ趣味は影を潜めているように見える。もっとも予算規模は小さいので、法廷のセットなど随分こじんまりとしたものだが。
 日本側の主張を佐々木孝丸が滔々と語る演説が見事で、連合国側の検事との丁々発止のやりとりも法廷ものとしての面白さを外していない。決してキワモノ映画ではなく、予想以上に本格的に東京裁判の再現に取り組んだ意欲作である。東宝が”激動の昭和史”シリーズで企画して果たせなかったことが既にここでかなり実現しているのだ。
 東條が絞首刑に処せられる場面で映画は終わるのだが、A級戦犯たちはある意味で殉教者のように描かれており、実際それは間違いではないのだろう。
 天皇の戦争責任を回避するための宮中グループの工作といった舞台の裏側での出来事は全く描かれず、ひたすら東京裁判の中で戦わされた論戦に絞り込んで、戦勝国の一方的な処断であったことを力説するのだが、それが歴史的に全面的に正しいとは限らないにせよ、はっきりとした主張を持つ映画であることは確かであり、極めてユニークな法廷映画になっている。

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