日本のいちばん長い日 ★★★☆

日本のいちばん長い日
1967 スコープサイズ
レンタルV

原作■大宅壮一 脚本■橋本 忍
撮影■村井 博 照明■西川鶴三
美術■阿久津巌 音楽■佐藤 勝
監督■岡本喜八


 昭和20年、天皇と日本政府はポツダム宣言の受諾を決定するが、本土決戦を主張する陸軍の青年将校たちは玉音放送を阻止するため暴走する・・・

 豪華配役による国策決定の前半部分は、岡本喜八独特の構図とカッティングで異様な緊迫感を演出して圧倒的な迫力があるが、陸軍の策謀に重心が移る後半部分は、黒沢年男の上ずった熱演のおかげで説得力を欠く結果となった。彼らの持つ誤った使命感の徒労さを戯画化する演出意図があったと思われるが、この時期の黒沢年男には荷が重すぎたようで、単純に見苦しく、せっかくの映画の格を貶めている。

 荒びたモノクロ映像で夏の日の暑苦しさを映し出す村井博のキャメラは秀逸で、一連の”激動の昭和史”シリーズのフラットな画作りの中では異彩を放っている。

 登場人物のほとんどに肩書きと氏名のテロップが付けられる映像スタイルはこの種の映画については非常に有効であることがわかる。

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