メゾン・ド・ヒミコ ★★★☆

メゾン・ド・ヒミコ
2005 ヴィスタサイズ
MOVIX京都(SC7)
脚本■渡辺あや
撮影■蔦井孝洋 照明■疋田ヨシタケ
美術■磯田典宏 音楽■細野晴臣
特殊メイク■原口智生 視覚効果■松本 肇
監督■犬童一心


 ゲイ専用の老人ホームに無理やり雇われた娘(柴咲コウ)は、抵抗を感じながらも住人たちの感情を理解してゆく。施設の創設者は自分を捨てた父親(田中泯)で、ガンで余命僅かな身だった・・・

 ゲイ好きな腐女子向けの企画とも思えるが、いわゆる美形はオダギリ・ジョーだけで、残りはゲイの末路を妖しく体現する老人達なので、一応真面目な意図を持ったドラマなのだろう。

 実際、ずっとむくれっ面で大きな目で人を睨みつける柴咲コウとオダギリ・ジョーの屈折した恋愛劇としても、その間に無理やり西島秀俊を挟むことで冷静な構図を描くことに成功している。もっとも、この構図のあり方は、かなりロマンポルノ的で、斉藤博を想起させもするのだが、肝心の柴咲コウは脱ぎもしないので、ロマンポルノに対する義理を果たせていないといえるだろう。

 終始醜い娘を演じる柴咲コウもいいし、オダギリ・ジョーが久しぶりに美形らしさを素直に演じて気持ちがいいのだが、冒頭でホラー映画におけるヴィンセント・プライスもかくやといった圧倒的な存在感を示す田中泯の凄さが、映画全体が漫画に堕すのを救っている。

 実際、途中のダンスシーンなどはかなり気恥ずかしく、「二人が喋ってる。」の監督とも思えないのは、柴咲コウのカマトトぶりが過ぎるからだろうか。

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