フライトナイト

基本情報

フライトナイト
(FRIGHT NIGHT)
1985/CS
(2005/4/9 レンタルDVD)

感想(旧HPより転載)

 隣に引っ越してきた男は吸血鬼なのか。隣家を覗き見てその証拠を掴んだ高校生の主人公は警察も友人も信じてもらえず、テレビの怪奇映画劇場のホスト役の俳優(ロディ・マクドゥール)に吸血鬼退治を依頼する。小金欲しさにいい加減に協力していた俳優は、鏡に映らない男を本当の吸血鬼だと知り、怖気ずいてしまう。恋人を誘惑され、さらわれた高校生は勇気をふり絞って最後の反抗に出るが・・・

 80年代に「サイコ2」の脚本で注目されたトム・ホランドの脚本作で、監督デビュー作。この人は他にも「チャイルド・プレイ」という佳作があり、このジャンルでは定評ある作家のはずだが、近年は「痩せゆく男」くらいしか映画を撮っていないのが残念。

 脚本自体もサスペンスとエロティシズムが理知的に構成された佳作だが、怪奇映画のジャンルの規則といかにも80年代風の青春映画のエッセンスを融合させた演出の的確さを賞賛したい。

 SFXにはリチャード・エドランドがあたり、小規模作品で限られた予算のなかで効果的に特撮を導入した見極めも正しい。公開当時はピンポイントで豪華なSFXを駆使している印象だったが、今見るとキャメラワークや音響効果による間接描写がふんだんに駆使されており、クラシックな格調が漂うあたり、トム・ホランドの筋の良さが確認できる。

 気弱な初老の怪奇俳優を演じるロディ・マクドゥールが的確な巧演を見せるが、主役の高校生を演じるウィリアム・ラグズデールの嫌味の無いリアクションの演技が清々しく、この映画の格を上げている。

 吸血鬼を演じるクリス・サランドンもこの映画で強烈な印象を残したが、改めて観ると下僕とのホモセクシャルなニュアンスが入念に描写されているのが意外だった。怪奇映画と青春映画はセックスという要素で通底していることを技巧的に体現してみせたトム・ホランドの野心作である。

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