感想(旧HPより転載)
巨大なヤクザ組織の会長(長門裕之)から次期会長に指名された幹部(火野正平)は若頭(田中健)の助力も虚しく、組織の乗っ取りを狙う卑劣漢(石立鉄男)とその懐刀(本田博太郎)の罠にはまり無念の死を遂げる。さらに若頭たちの卑劣漢に対する襲撃計画も失敗に終わり、暗殺者の手に掛かる。自分が対抗組織に属する初恋の男(豊浦功補)との一夜の不倫に溺れ、夫を裏切ったことを負い目に感じる若頭の妻(高島礼子)は裏切り者たちの待つアジトに奇襲を仕掛ける。
高島礼子の極妻シリーズ第3作だが、これは失敗作だろう。上記の他にも池上季実子、トミーズ政、鶴田忍、清水紘治といった豪華キャストを揃えて意欲満々といった体制だが、今回の脚本は露骨に拙い。
特に極妻の不倫というプロットの建て方が中途半端で、群像劇の一要素に過ぎずないためメロドラマを狙うにしては杜撰すぎ、他の筋立ての足を引っ張っただけという結果に終わっている。そもそも不倫相手の豊浦功補の役どころも如何にも取って付けたような曖昧な位置づけのため、アクション映画らしい対立図式が描けないのだ。
そうした杜撰さを補うためか、石立鉄男と本田博太郎がやりすぎ気味の怪演合戦を見せ、その場しのぎの歪な快感を盛り立ててくれる。石立鉄男の老残ぶりも凄いが、近年漫才で言うところの”ボケ”役としての位置を明確にしてきた本田博太郎がしっかり仲間の石立鉄男にもどつかれ倒すのが嬉しい(?)。
関本郁夫の演出に関しては冒頭のアパート襲撃シーンにステディカムを使ってみたりして常に意欲的で、前作よりも息の長いカットが多く、本来のスタイルに戻ってきているようだ。