感想
■アサヒビールとのタイアップ映画で、山内賢はほぼ全シーンでビールを飲んでいて、大学生なのに完全にアル中。そもそも初登場の場面では、自動車を運転しながら白昼堂々とビールをがぶ飲みしている。これほど露骨でたちの悪いタイアップもなかろう。
■山内賢は器用な人なので、アドリブっぽくC調演技を披露するが、このひと、むしろ東宝なんかが似合う人じゃないか。この時期の日活の若者向け映画は、基本的に提携先の民藝の影響を受けた(?)リアリズム路線の勤労者映画なので、どうも収まりが悪い。
■当時の日活映画は大ブームになっていたGS歌謡を映画に取り入れることに熱心で、堺正章が舟木一夫の弟分としてコメディリリーフを務め、山内賢の友人という触れ込みでザ・スパイダースが登場して舟木とも競演する。舟木一夫の歌謡曲だけじゃ足りなくて、GSまでトッピングする贅沢で強引な歌謡映画だ。でも、ザ・スパイダースが日活映画で堂々と主演を張る『ザ・スパイダースのゴーゴー向う見ず作戦 』まで、まだ2年の歳月が必要だったのだ。
■監督の柳瀬感は舟木と和泉のラブシーンはちゃんと丁寧に情感たっぷりに描いて、決して筋は悪くないのに、脚本が適当なのでなんとも分が悪い。最大の見せ場は、クライマックスの人形を使って別れを告げる場面だが、これも人形劇を前半で十分に振っていないので、完全な効果を発揮していない。
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