石原プロの倉庫から発掘された幻の事故物件!『愛の化石』

愛の化石 [DVD]

愛の化石 [DVD]

  • 発売日: 2016/05/18
  • メディア: DVD

基本情報

愛の化石 ★
1970 スコープサイズ 82分 @amazonプライム・ビデオ
脚本:岡本愛彦 、鈴木岬一 撮影:奥村祐治 照明:五十畑憲一 美術:山下宏 音楽:三木たかし 監督:岡本愛彦

感想

■これなぜかアマゾンプライムビデオで見放題なんですよ。しかも製作は石原プロモーションで、配給が日活。浅丘ルリ子の名曲「愛の化石」は前年の大ヒット曲で、この映画はヒット曲の映画化企画だったらしい。1970年は、まだ日活がロマンポルノに移行せず、大映との共同配給も開始前という時期だろうが、田宮二郎は既に大映を離れていたようだ。しかも、渚まゆみがお色気要員ではなく大きな役で登場することからも、実質的には大映との協賛が進んでいたようだ。
■とにかくお話は無いに等しいので、梗概も書けないし、何も感想も浮かばないという完全無欠の事故物件映画。なんでこうなった?という疑問しか浮かばない。ファッショナブルなメロドラマという狙いだろうが、予算も少ないし、そもそも脚本が素人レベル。不倫メロドラマなんて、いくらでも面白くできるだろうに、そもそも不倫相手の碧川部長は一切姿を見せないし、ルリ子が台詞で説明するだけ。ひょっとして裕次郎が碧川として特別出演するのかと期待したが、そんなサービスもなし。
渚まゆみに至っては、安保闘争の元闘士で出版社の編集という役どころで、冗談にしてもひどい。特に後年の東映実録映画のイメージが大きくて、大概派手なメイクでやさぐれてる印象しかないのだが、本作ではナチュラルな演技で悪くない。もう少し演技上手かったらいいんだけど。
■それこそプロの脚本家に依頼して、蔵原惟繕にでも撮らせれば普通のオシャレなメロドラマになったはずだが、誰が岡本愛彦を連れてきたのか。ひょっとしてルリ子本人だろうか。しかも、記録によれば99分という記載がある本編が、アマゾンプライムビデオではたった82分しかないのですよ。正直なところ82分でも拷問のように冗長で、しかも明らかに尺を水増ししているシーンがいくつかあるという代物。時代を超越して、観るものに目眩を起こさせる、一種のドラッグ映画なのか?

愛の化石

愛の化石

  • 発売日: 2017/12/28
  • メディア: Prime Video

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