吉永小百合が★★の匂いで失せ物を発見する!『草を刈る娘』

草を刈る娘 [DVD]

草を刈る娘 [DVD]

  • 発売日: 2008/02/09
  • メディア: DVD

基本情報

草を刈る娘 ★★★☆
1961 スコープサイズ 87分 @DVD
原作・石坂洋次郎 脚本:三木克巳 撮影:岩佐一泉 照明:三尾三郎 美術:佐谷晃能 音楽:池田正義 監督:西河克己

感想

津軽地方の岩木山周辺の古い習俗を元に描いた牧歌的な青春映画で、意外にも秀逸な喜劇映画。まるで西部劇映画のような雄大なロケ撮影が圧巻。明らかに西部劇映画を意識した演出だ。
■当地方では冬が訪れる前に馬草を備蓄するために山間の草原に野営して草刈りをする風習があるが、2つの部落にはそれぞれ世話焼き婆さんがいて、若い集を連れてきては番わせようと画策していた。というお話。
■世話焼き婆さんを演じるのが望月優子清川虹子で、大勢の男女を番わせると功徳になって極楽へいける、ありがたい、ありがたいと信じている。なるほど、そういう動機なのかと変に納得。清川虹子なんて、よく知っているのは、後年のもっと下品な感じになってからのイメージが強いので、まだ若いし誰かと思ったよ。
■脚本の三木克巳東宝井手俊郎の変名で、プロデューサーの坂上静翁と東宝で一緒だった縁で日活映画でも組んだようだ。『警察日記』の大成功が大きかったのかな。東宝映画では他にも喜劇専門のライターがいたからか、あまり喜劇は担当していないのだが、日活では喜劇の才能を発揮して、西河克己と組んで実に洗練された喜劇を残している。本作も、田舎の習俗を扱った牧歌的な作風だが、喜劇要素の描き方がいちいち端正なので、オーソドックスな笑いを誘う。
■ことに小百合と光夫のコンビは清心で、ホントに心洗われる気がする。光夫が草原にガスライターを落として諦めたと言うと、小百合が彼のでっかい野糞の匂いを頼りに見つけてきてやる場面など、伝説的な傑作場面。素朴に可愛くて大爆笑の名場面。終盤にはお約束どおり三角関係になるし、唐突に殺人事件が発生するし、どうなるかと思えば、あっという間に解決してしまう。このあたりの急転直下ぶりが確かにカタルシスで、結構念入りに伏線を張っているから悪くないし、近藤宏が珍しく頭の弱い役で設け役。
■ラストの2つの部落のキャラバンがまた来年会おうな~といいながら別れてゆく場面も雄大なロケ撮影が素晴らしく、白馬に跨った浜田光夫も完全に西部劇要素の入った白馬の王子に見えてくるから、若いっていいな。
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