感想
■兵隊やくざシリーズ第七作目。毎度、大した物語は無いのがこのシリーズで、クライマックスの戦闘場面も当時の大味なアクション映画でお馴染みの適当に撮った戦闘場面の素材を適当に繋いだだけの散漫な作りで、スリルもサスペンスもあったものではない。これもこのシリーズの恒例で、同様の素材でも東宝だともう少しましな活劇になる。岡本喜八にしても福田純にしてもね。
■有田上等兵と大宮一等兵がコンビでいると始末に負えないと、有田は暗号教育を受けるという名目で転属させられるというのが大きなポイントで、引き裂かれた二人は、というか特に勝新演じる大宮は大いに煩悶する。そして、遂に敗戦を迎え、戦後という混沌に投げ込まれるところで映画は終わる。実にあっさりと終わってしまうのも、このシリーズらしいこだわりのなさ。もっと盛り上げようがあろうものを。
■野川由美子がお馴染みの従軍慰安婦、ただし士官専用の高級慰安婦として登場するが、ほんとに顔見世程度の出番で、ゲストスターにしては生かされない。日活の『賭場の牝猫』シリーズなどでは実に丁寧な演出と撮影で、これ以上ないくらいに綺麗に魅力的に撮ってもらっているのに、まあ雑な扱いで気の毒というか勿体ない。こういうのを役不足というのですよ。岩崎加根子なんて謎のインテリ娼婦ですからね、東映ならもう少し脇役を丁寧に描くが、これも中途半端に投げっぱなし。
■他には南道郎が演じるあくの強い意地悪な曹長が出色で、一番の儲け役だろう。あの独特の潰れただみ声が怖いよね。安部徹とか小松方正とか稲葉義男は、出てますよという程度の扱いだもんね。
■戦争は終わったけど、シリーズはまだ続くのだった。。。正直、苦しい戦いです。永田社長。