悪い気はしないけど、ビックリ映画にしては生真面目すぎる!『ドリームハウス』

感想

■本作もあまり知られざる怪奇スリラーの小品佳作です。一種の怪奇ロマンでもありますが、心理スリラーでもあります。中盤に大きなどんでん返しがあるので、あまり具体的なことは書けませんが、それなりに良くできてます。ただ、それ以上の感動があるかというと、そこまでは至らない。

■サラリーマンをリタイアしてこじんまりとした古家を買って小説の執筆に専念しようとしたところ、その家で一家惨殺事件があったことを知り、家族ごと奇怪な出来事や怪しい人影に悩まされることになるが、という定番のお話を途中でひっくり返してしまうびっくり映画。

■語り口としてはかなり良くできているのだが、後半の展開は平凡な印象だな。中盤の種明かしにクライマックスが来てしまうせいなのだが、これはお話の性格上いかんともしがたいわな。本来なら30分ドラマや1時間ドラマで落とし噺として語るのが正解な企画だろう。まさに『ミステリー・ゾーン』(『トワイライト・ゾーン』)ですからね。

ダニエル・クレイグナオミ・ワッツレイチェル・ワイズという豪華配役で、監督もジャンル映画の出身ではない正統派のジム・シェリダンというのも妙に権高な印象を与える。心理描写が丁寧で演技もリアルなのはいいのだが、やはり、こうしたジャンル映画に必要なのは、「稚気」なのでね。。。

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