バクチに狂った団地妻 稲野和子がこけしで加藤嘉を撲殺!ザ・ガードマン『バクチで稼ごう!団地奥さん』

ザ・ガードマン 1970年度版 DVD-BOX(前編)

ザ・ガードマン 1970年度版 DVD-BOX(前編)

ザ・ガードマン 1970年度版 DVD-BOX(後編)

ザ・ガードマン 1970年度版 DVD-BOX(後編)

■ザ・ガードマンの第291話。昭和45年の製作。脚本はお馴染み山浦弘靖、監督は宮下泰彦の黄金コンビ。

■お話は、例によって欲求不満な団地の奥さんが保険の勧誘員に誘われ、団地内の秘密の賭場で花札賭博にハマって最初は大きく儲けるが、次第にじり貧になり借金を抱えるし、無断で賭博開帳とは何事かと地回りのやくざがねじ込んできて売春させられそうになるわという転落劇。これを実に快調に狂騒的に描くのがこの名コンビの特徴。

■レギュラーゲストの稲野和子森一生の『四谷怪談お岩の亡霊』でお岩さんを演じて見事なはまり役だったが、このシリーズでは実にいろんな役で登場して謎の色気を振りまくお色気要員。お話はほとんどロマンポルノの先取りだが、直接的な裸が出るわけでもなく、稲子和子と根岸明美団地の植え込みでキャットファイトしてサービスに努めるのだが、正直、当時のおじさんたちがどう思って喜んでいたのか疑問だ。もちろん当時のこととて、ふたりともミニスカートですよ!確かに稲野和子は当時三十代半ばの女ざかりなので、妙にエロいのは確かだけど、それって一般的な感性だろうか!?

■日活ロマンポルノは翌年に団地シリーズを公開して大評判をとることになるのだが、ザ・ガードマンは完全にこれを先取りしている。ただ、「団地妻」と「団地奥さん」のネーミングセンスの差は歴然で、ザ・ガードマンでは淫靡さではなく、諧謔味とか風俗喜劇を狙っている。平凡な団地奥さんの転落劇を扇情的に描くのではなく、平凡な日常からはみ出して悪党への変貌(転落)してゆく様を興味深く観察しているのが特徴だろう。

■ラストではこのシリーズらしく、真の悪党が登場するが、稲野和子はそれまでに賭場の主催者の老夫婦(加藤嘉と三条美紀)をこけし(民芸品です)で撲殺しているのだ。真の悪党はガードマンに確保されたが、稲野和子の犯した殺人はもう巻き戻すことはできない。という残酷な結末。これをなぜかギャンブル必勝の心得を字幕で出して、芥川隆行が名調子で読み上げるという戯画的な演出でまとめ上げるし、稲野和子花札で勝って鼻息荒くげらげら大笑いするし、テンション高くノリノリの怪演。実は陰惨な話なのに、ほんとに勢いだけで作ってる感じがあって、疾走感がたまらない。

小池朝雄藤木孝加藤嘉、三条美紀、渥美国泰、荒砂ゆき、根岸明美といったおなじみの渋い脇役たちもザ・ガードマン一座って感じで愉快。藤木孝も根岸明美も完全な端役扱いですからね!