きみはいい子 ★★★★

きみはいい子
きみはいい子
2015 ヴィスタサイズ 121分
APV
原作■中脇初枝 脚本■高田亮
撮影■月永雄太 美術■井上心平
照明■藤井勇 音楽■田中拓人
監督■呉美保

■呉美保だから悪いわけはないのだけど、期待以上の力作。現代日本の子どもたちを取り巻く社会的病巣をグイグイと追い詰めて、ほんとにわが国の未来は大丈夫なのかという暗澹たる気分に観客を追いやっていく、ある意味『ノストラダムスの大予言』みたいな警世の映画。それでいて、終盤には救いと希望で締めくくる感動作なので、非常によくできた社会派娯楽映画。正直なところ、無理やり、悪く言えばご都合主義的に希望で締めくくろうとしているところもあるが、全体的に疵にはなっていない。かなりよくできた脚本だと思う。

■連作短編集の中から「サンタさんの来ない家」「べっぴんさん」「こんにちは、さようなら」の3編を並行して見せるのだが、無理にエピソードをくっつけることもしない。「サンタさんの来ない家」のエピソードについては、ホントはやるせない結末なんだけど、映画としては前向きな方向で終わっている。そこに若干の違和感、作為を感じないでもない。あの男の子の最後の台詞には泣かされたが、もっとやるせなさを前面に出して終わるやり方もありえただろう。後味が悪すぎになるだろうけど。

■それにしても、「怪獣使いと少年」は踏襲されているよね。ラストの高良君の走りは団次郎(郷秀樹)のそれじゃないか。

■製作はアークエンタテインメント、日活。制作はアークエンタテインメント。

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