悪の花園 ★★★

Garden of Evil
1954 スコープサイズ 100分
DVD

悪の花園<特別編> [DVD]
■20世紀フォックスの大物職人監督ヘンリー・ハサウェイによる異色の西部劇。シネマスコープという新フォーマットの最初期の映画の一本。これ、何がおかしいと言って、ファム・ファタールとして男たちが皆惚れるというヒロインが全く、魅力がなく、説得力がない。それを無理やりお話を進めようとするから、全部台詞で説明してしまう。ヒロインはスーザン・ヘイワードなんだけど、プライベートが大変であまりやる気がなく、監督と衝突して、監督も意地悪く接するという険悪なものだったらしい。
■「悪の花園」を目指す途中に断崖絶壁があり、クライマックスのアクションもここで展開するのだけど、大々的に作画合成が使われる。ただ、同じアングルのカットが何回も登場するのは、明らかに予算の都合だろう。ヘンリー・ハサウェイは予算を厳守する監督として重用されたらしい。
■しかし、なかなか面白い活劇で、さすがにアクションの見せ場のメリハリは見事。アパッチの襲撃シーンも、演出プランだともっと大勢の軍勢だったらしいが、手違いで人数が集まらなかったというわりに、巨大スクリーンを信頼した堂々たる引きの絵は、やっぱり凄い。
■そして、ラストの「地球が金の塊なら、・・・」という人を食った謎の決め台詞。単に杜撰な映画ではなく、かなりユニークな狙いを持った映画であることは確か。シネマスコープ用のスペクタクル映画のはずが、実に小さな何か変なものを見つけて帰ってきたようだ。でも『悪の花園』というタイトルは腑に落ちないなあ。

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