ヴァイブレータ ★★★

ヴァイブレータヴァイブレータ
2003 ヴィスタサイズ 95分
DVD 
原作■赤坂真理 脚本■荒井晴彦
撮影監督■鈴木一博 照明協力■守利賢一
美術■林千奈 音楽■?
監督■廣木隆一

■まあ、これは大人の行きずりの恋愛劇でしてね、しかも監督が”シティ派”(死語?)廣木隆一なので、どうもいまだにこの人の感覚はしっくり来ないのね。昔のにっかつ買取りの独立系ポルノ映画の頃から少しずつは観ているのだが、未だによく理解できない監督の一人だ。
■お話のほとんどはトラックの中とその周辺が舞台となる超低予算映画なので、撮影もビデオで行われたようだ。低予算映画の救世主鈴木一博がキャメラを担当して、ビデオ撮影=>DVDならではの鮮明感ある映像を実現しているが、どうもこの鮮明さが最近気に触るのよ。
寺島しのぶが可愛く撮れているのが立派なところだが、相手方のトラッカー大森南朋がいい味を出しているのにも感心した。
■二人の行きずりの恋とも呼べない肌の暖めあいを、ヒロインの心理描写を軸にさらっとスケッチ風に描く小品という意図は正確に達成されているが、数々の賞を独占するほどの映画とも、正直なところ思われない。女の立場から見ると、リアルな実感が感じられる原作なのかもしれないが、男の立場で見ると、食べたり、吐いたり、セックスしたりといった女性の感覚の切実さを、もっと男にも理解できるような表現として映画化してほしいという気がする。映画という表現を通せば、男にも自分が女になったかのように女の気持ちが理解できるというのが、映画の作り方の理想だろう。そもそも、行きずりの関係というもの自体が、実感として理解しがたいものではあるのだが、それをテーマとして感動的な映画に仕立てた例は幾らもあるわけだから。
■製作はシーアイエー、ハピネット・ピクチャーズほか。

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