彼の国だって舞台裏は火の車『機動部隊』

基本情報

機動部隊 ★★☆
task force 1949 スタンダード 116分 @DVD

感想

■1949年、退役する海軍軍人が開発初期の空母から航空部隊の重要性を認識し、真珠湾、ミッドウェイの海戦を経て空母建造の大型予算を獲得して沖縄の激戦に臨むまでを回想するという戦記映画。なんだか『零戦燃ゆ』みたいな映画ですな。

■お話自体には捻りがなく、淡々とエピソードを重ねてゆく脚本で、優れたドラマが観られるわけではないが、何故か沖縄戦の前あたりからテクニカラーになるという奇妙な映画なのだ。戦闘場面は基本的に記録映像を使うという趣旨らしく、戦場の記録映画も太平洋戦争の末期にはカラー化しており、それに合わせてドラマ部分もカラー化するという、ポリシーがあるのか無いのかよくわからない不思議な趣向。脚本も兼ねるデルマ―・デイヴィスの真の意図はどこにあったのか。

■戦略とか戦術の面白さや戦場の悲惨さではなく、世論や政治家と闘って予算を獲得する官僚的な軍人のイメージを強調したのは面白い視点だ。物量的に悠々と日本を凌駕していたわけではなく、世論(マスコミ)や政治家(議会)を動かして、やっと物量を揃えることができたのであって、案外舞台裏はカツカツだったのだという切迫感を描き出している。

■そして、脇役で女優時代のジュリー・ロンドン(なんと!)が出演しているのも見どころ。たしかに、顔立ちが濃いなあ。

© 1998-2024 まり☆こうじ