わたしの星 ★★★☆


■作・演出:柴幸男、美術:青木拓也、照明:伊藤泰行、劇場:三鷹市芸術文化センター 星のホール(2014)

■放送版 撮影:福本淳、ディレクター:真利子哲也

■出演:生駒元輝、坂本彩音佐藤まい、西片愛夏、西田心、札内茜梨、山田奈々緒、吉田圭織、吉田恵、吉永夏帆

■夏休みの終わり、文化祭に向けて出し物の稽古をしている私に向かって、幼馴染のスピカはいきなりこう言った。明日、火星に転校するって。地球温暖化で住めなくなった地球。みんな火星に移住して、僅かな人類しか残っていない日本。幼いころからずっと一緒に育ち、学校もずっと一緒だったスピカ。でも最近距離を置くようになってしまったスピカ。それは自分の僻みのせいだ。それはわかっているけど。。。

NHKのプレミアムステージで観たのは大分、前だけど、改めて録画を見直してみた。女子高生約10名がわちゃわちゃと楽しそうに演じる舞台。舞台俳優ではなくオーディションで選ばれた素人高校生たちが演じる舞台。でも、ちゃんと演劇になる。それが演劇の面白いところ。

■舞台装置の転換はなく、もっぱら照明の効果で場面の設定を変化させる。これも演劇ならではのもの。夏休みの終わり、星の生命の終わり、難病による人の生命の終わり、幼かった友達関係の終わり。時間の有限性が幾重にも重ね合わされる青春SFドラマでもある。でもそれは一方通行の有限ではなく、どこかに繋がっていて、円環を描いているに違いない。そのことを舞台装置と照明が描く円環で表現する。

■意外に古風な胸キュンドラマで、感情が激してくるとほっぺた平手打ちとか出ますから、昭和テイストなんですね。令和の時代に平手打ちは通用するのか、女子高生に聞いてみたいところだ。

■ちなみに、もともとの戯曲「わが星」は2010年の岸田國士戯曲賞を受賞している有名作だ。

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