残酷の沼 ★★★

TORTURE GARDEN
1967 ヴィスタサイズ　93分
DVD

　フレディ・フランシス監督によるアミカスプロのオムニバス路線の３作目。
　魔女の隠し財産を見つけた男が復讐される話、ベテラン映画スターの若さの秘密を発見する話、音楽家の母親がピアノに乗り移って恋人に嫉妬する話、ポー収集家の話の４本立てだが、如実に低予算で、コーマンがＡＩＰで撮ったポーシリーズなど大作に思えるほどだ。ハマープロの諸作に比べても見落とりする質感だ。おまけに、フレディ・フランシスという監督に怪奇映画作家としての才能が感じられないのが困ったところだ。
　バージェス・メレディスやジャック・パランスの臭い芝居がジャンル映画らしい楽しさを感じさせるが、ロバート・ブロックが自作の短編を脚本化したうまみはあまり感じられず、ウィリアム・キャッスルの「血だらけの惨劇」の脚本と比べると見劣りする。そもそも、この監督、サスペンスがあまり得意ではないらしい。
　撮影監督としては一流のフレディ・フランシスが、何のために好き好んで低予算ホラーを量産していたのか、いちど聞いてみたいものだ。