アルゴ ★★★☆

ARGO
2012 スコープサイズ 120分
DVD

■イランアメリカ大使館人質事件の裏面を描く実録映画。今回、ベン・アフレックは脚本にタッチせず、主演と監督に専念している。しかし、まあ、演出の腕はいいので、安心して観ていられる。というか、あまりにギリギリのサスペンスなので、観ていて胃が締め付けられる感がある。サスペンスとしては明らかに成功作。

■あまりに奇奇怪怪な史実なので、それだけでもうおなか一杯だが、まあ恐怖感の醸成がただ事ではなく、30年前の出来事が、現在のイスラム恐怖感と仲良く手を繋いで観客の胸先三寸に突きつけられる。このあたりのえげつない商売っ気は、そのまま劇中で描かれる偽映画に通じる。そういうメタ的な視点をもちろん意識しながら、それでも上手な商売を狙う、綱渡りのようなスキャンダラスな企画である。そのギリギリ感がベン・アフレックとかジョージ・クルーニーの製作者魂に火をつけたのだろう。こんな芸当は日本映画では真似できませんね。

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