二つの大戦の間を夜に生き、つかの間の天国を手にした男!ベン・アフレック自作自演の任侠映画『夜に生きる』

基本情報

夜に生きる ★★★
2016 スコープサイズ 129分 @DVD

感想

第一次大戦に出征してひどい目にあい、二度と偉い人の命令には従うまいと心に決めたジョーは夜の世界に生きることを誓う。だが愛した女がギャングのボスの情婦だったことから裏切られて入獄、出所すると復讐のためにライバルのイタリアマフィアのボスに取り入って、フロリダの密売酒を牛耳ることになるが。。。

ベン・アフレックデニス・ルヘインの原作小説を映画化したもので、どちらかというと商売路線という気がする。次の『AIR/エア』も一見物分かりの良い娯楽作だったが、むしろそちらのほうが攻めていると感じた。本作はいわばコスプレ的な活劇を狙ったもので、正直なところテーマの絞り込みが甘いと感じる。脚本はベンが自分で書いてますけどね。

■なぜかベン・アフレックの映画って、戦争映画ではないけど戦争に関するドラマになっていて、『AIR/エア』ですらそうだったけど、本作は第一次大戦の戦場でひどい目にあった男が腕と度胸で夜の世界の大物になり、つかの間の幸せを得て、天国はいまここにあると一瞬感じるまでを描くけど、すでに欧州ではナチスが台頭して、第二次大戦がそこまで迫っていることを示して終わる。二つの世界大戦の間の一瞬の成功感の儚さを描く。

■そのなかで、すぐに容赦なく人を殺す無法者のギャングなのに、南部特有の黒人差別に対しては鋭く正論を述べる正義漢として描かれる。利益と権力を貪る悪党は容赦なく瞬殺するけど、黒人や移民などの弱いものには味方して、貧しい人々のために社会投資だってする任侠の男。そう、任侠映画ですねこれ。

■完成版ではカットされたが、ジョーとエマの馴れ初めが実は撮影されている。実際のところシエナ・ミラーファム・ファタールに見えないので苦しいのだが、二人の馴れ初めの場面がカットされたことで余計に苦しくなり、ジョーやボスがなんでそこまでこの女(こんな女)にこだわるのかが腑に落ちないから、心に迫らない。言ってしまえば、主演はベン・アフレックじゃないほうが良かった気もするし、配役で失敗していると感じる。実際のところ、ベン・アフレックは『AIR/エア』の助演の方が冴えてたよね。

参考

ベン・アフレック監督作品。娯楽性は盛りだくさんだけど、実に渋い映画なのだ。特に『ゴーン・ベイビー・ゴーン』は良かったよなあ。
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ベン・アフレックは大根じゃありませんよ。役者としてもハマるといい味を出す。
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