エージェント:ライアン ★★★

JACK RYAN: SHADOW RECRUIT
2014 スコープサイズ 106分
Tジョイ京都(SC6)

■ジャック・ライアンシリーズの最新作は主演にクリス・パインを迎え、ケヴィン・コスナーが脇に回り、敵役が監督を兼ねるケネス・ブラナーという、なかなか興味津々の布陣なので、早速映画館にGOだ!

■アナリストだったジャック・ライアンが巻き込まれ形でエージェントになってゆく様子をロシアを舞台に描く正統派のサスペンス映画。監督のケネス・ブラナーは結構サスペンス映画には執着があるようだし、『フランケンシュタイン』というケレン溢れる怪奇映画のなかなかの佳作を撮っているので、個人的には高く評価しているのだ。『魔笛』も無性に楽しかったしね。実際、本作でも9・11を描く冒頭から見事な筆致であり、実質的に最大の見せ場になる中盤の秘密情報奪取のサスペンスにしても非常にきちんと撮っている。ただ、この場面の高揚に比べると終盤のアクションとサスペンスはある意味ありきたりで、少々尻すぼみ感は否めない。

■ジャック・ライアンがCIAエージェントとしての殺人的ミッションに巻き込まれるのと同時にキーラ・ナイトレイ演じる恋人との関係が危機に瀕し、そちらも何とかしておきたいという二律背反に追い込まれてあたふたするあたりが今回の新工夫で、作劇的には大いに面白い。ただ、主演のクリス・パインが少々芋っぽすぎて、スクリューボールコメディ色が映えないのは残念。ケネス・ブラナーももっとコメディ色を出してもよかったのに、遠慮したのかなあ。まあ、クリス・パインの相手が華の無いキーラ・ナイトレイというのも、配役が悪い。いや、キーラは『わたしを離さないで』が非常に素晴らしかったので、決して嫌いじゃないけど、もっとコメディが嵌る女優が良かったなあ...

■それから、106分というランニングタイムは非常にタイトで、2時間映画にしないという意思を感じさせた。実際のところ堂々たる大作仕様だった『トータル・フィアーズ』などに比べてもお話の内容が非常にこじんまりとしている。そういえば『トータル・フィアーズ』は面白かったなあ。

© 1998-2024 まり☆こうじ