ラブホテル ★★★★

ラブホテル
1985 ヴィスタサイズ 88分
みなみ会館
脚本■石井隆
撮影■篠田昇 照明■熊谷秀夫
美術■寒竹恒雄
監督■相米慎二

■昔西部講堂で2回観て以来のスクリーンでの鑑賞。まさかまた銀幕で観られるとは思いもしなかった。正直いって、技術的には当時の予算的な制約も多く、特にナイトシーンでは照明が十分ではないと感じる。かろうじて役者の顔だけなんとか潰れずに映っているという感じは、撮影の狙いというより技術的限界だろう。それでもタクシーの走行シーンで車内をキャメラ長回しで行ったりきたりするあたり、篠田昇のデビュー作らしく凝っっている。今の機材であれば、ナイトシーンももっと細部が自然に写るし、キャメラワークもより滑らかに撮影できるはずだ。

■それでも、2回登場する横浜の埠頭シーンは何度観ても涙が出るほどの傑作場面。山口百恵の『夜へ』ともんたよしのりの『赤いアンブレラ』が流れるのだが、ここは一種のオペラ的な演出になっており、1カット長廻しの中で曲と情感とキャメラワークが奇跡的な融合を果たす。オペラなので、ここだけを切り出して、繰り返し観てもいいはず。きっと将来的にはクラシックのさわり集みたいな、相米慎二の名場面集みたいなソフトが出てもおかしくないと思う。そんな風に音楽的に演出しているはず。

■久しぶりに再会した速水典子の綺麗さにも撃たれたなあ。改めて惚れ直した。

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