ロボコン ★★★★

ロボコン
2003 ヴィスタサイズ
BS2録画
脚本■古厩智之
撮影■清久素延 照明■望月英
美術■金勝浩一 音楽■パシフィック231
監督■古厩智之


 目的もなく高専に入った女高生(長澤まさみ)は居残りを免除してもらうため第2ロボット部に入ることになり、落ちこぼれ部員とともに、ロボコンに出場するが惨敗、一念発起して再度チャレンジする・・・

 やっと観ました「ロボコン」です。長澤まさみが「時をかける少女」の原田知世や「がんばっていきまっしょい」の田中麗奈に匹敵する時代のアイドルであることを宣言した記念碑的作品。というだけでなく、かなりよくできた青春映画の佳作である。古厩智之という若手監督の作品を観たのは初めてだが、80年代の青春映画のスタイルが着実に継承されており、感慨深いものがある。この映画を映画館で見逃したのは、痛恨の極みだ。

 ロボコンという競技自体を、変に編集で誤魔化さずフルショットの長廻しできちんと見せ切る姿勢は、誠実で合理的な戦略で、素材の面白さをよく生かしている。

 基本的にフルショットの長廻しのなかでミニスカートの膝小僧が初々しい長澤まさみののびのびした肢体を眺める視点が青春映画らしい性的な含みを持ちながら清清しいのだが、特に小型トラックの荷台で山口百恵を唄う秀逸なシーンには、相米慎二の記憶が刻印されているだろう。冨樫森の「ごめん。」にしろ、この映画にしろ、相米慎二の残したものの大きさを改めて思い知らされる。

 清久素延の撮影デビュー作だが、監督の要請によく応えたいい仕事ぶりで、長澤まさみの素材の良さを自然なアングルで掬い上げている。

 ところどころにとって付けたような強引なギャグが挿入され、水と油の様相を呈するのだが、この監督にはあまり無理な商業的要求はせず、素直に撮らせたほうが、資質のよさを生かせるはずだ。まあ、むしろ東宝映画本体製作のアイドル映画に古厩智之を起用した英断を褒めるべきなのかもしれないが。

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