世界侵略:ロサンゼルス決戦 ★★★☆

WORLD INVASION: BATTLE LOS ANGELES
2011 スコープサイズ 116分
DVD

■同時期に公開された『スカイライン 征服』があまりに退屈な映画だったので、こっちも同工異曲かと思い込んで劇場で観なかったのだが、映画館で観なかったことを悔やむよ。上記凡作なんかとは比較にならないほど、ちゃんとした映画なのだ。敵はエイリアンになっているが、端的に言って、戦争アクション映画の快作だ。今般、さすがに他国の人間を皆殺しにするのはアメリカ国内ですら憚られる情勢なので、敵をエイリアンにしとけば昔のアメリカ映画みたいな痛快な娯楽活劇が作れるのではないかという試みは先の『バトルシップ』でも同様であったわけだが、本作も同じ路線上の成功作。

■監督のジョナサン・リーベスマンは『ブラックホーク・ダウン』や『宇宙戦争』やポール・グリーングラスの諸作などを研究しつくして映像設計を行っており、さながら研究発表会のよう。ただ、無意味にぐらついたり、小刻みにズームしたりするキャメラワークは単純にバカっぽいからやめるべき。戦闘シーンでもないのに、似非ドキュメンタリーみたいなうそっぽい揺れを作るのは意味が無い。そもそも、いまどき民生のビデオカメラですら手振れ補正がついてんだから、そんなにぐらぐら揺れるキャメラって、いつの時代の話だよ!

■さて、それでも本作がなかなかの傑作なのは、海兵隊員の活躍をマッチョイズムだけではなく、働くおじさん映画、職業倫理を描く映画として作ったところにある。そしてその意図が的確に表現されたのが主演のアーロン・エッカートの配役と、名演。正直、アーロン・エッカートがこんなにいい役者とは思わなかった。特に終盤に用意された献身的な大活躍は素直に燃える。クライマックスのカタルシスもアクション映画としては大成功だし、燃えに燃えるラストシーンは近来希な名シーンだ。正統派戦争活劇映画の小傑作だ。そして、『モンスターズ 地球外生命体』と一緒に観ることをお奨めする。アメリカを内と外から描き分けた双子の映画とも言えるからだ。

© 1998-2024 まり☆こうじ