ラスト・ターゲット ★★★☆

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まさに、おとなのピクニック?

THE AMERICAN
2010 スコープサイズ 105分
DVD

ラスト・ターゲット ブルーレイ [Blu-ray]

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アントン・コービンという監督は全く知らなかったのだが、いまどきこんな渋いアクション映画を撮る人も珍しい。イタリアの片田舎に潜んで射撃用の銃のカスタマイズを請け負った殺し屋が若い娼婦の娘と懇ろになり足を洗おうとするが・・・といういかにも典型的な活劇のお話を、かなり寡黙なタッチで描いたところにユニークさがある。メルヴィルまではいかないにしても、相当似たところを狙っている。本当ならもっとうらぶれた寂れた街でいずれ訪れる破局を諦念とともに待っている男の心象風景を寒々しく描くところだが、ここではむしろ風光明媚な観光映画的なタッチで撮られている。
■そしてラブアフェアも妙に純情なタッチで描かれ、それは女性観客を意識したものだろうが、ハードなお話をむしろ暖かな画調で捉えている。しかし、登場する女優は完全に男好きのするタイプで、ヴィオランテ・プラシドテクラ・ルーテン活劇映えする美形だ。特にテクラ・ルーテンジョージ・クルーニーが試射する場面は最高の見せ場。情交シーンよりもずっとエロいのだ。そして、クライマックスの女スナイパーぶりのカッコいいこと!このあたりはちょっと痺れる。
■アクション場面も非ハリウッド的な淡白なもので、欲を言えばガンアクションはもっと切れ味が鋭くてもいいかとは思うが、特に銃器に興味が無くても、銃器に関するフェティシズムとエロティシズムに感化されてしまうのは演出が成功している証拠だろう。お約束のラストのメロの甘さも非常に懐かしくていい感じ。ちょっと日活ムードアクションを思わせるところもある。

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