『恋愛の解体と北区の滅亡』

■前田司郎が恋愛と羞恥心とサドとマゾについて考察した、脱力系(?)恋愛奇想小説。「恋愛の解体と北区の滅亡」の宇宙人の来訪と主人公のSM倶楽部での珍体験の対比も凄いと思うのだが、「ウンコに代わる次世代排泄物ファナモ」も凄い。そもそも、表紙のお洒落なお姉さんが手にしている物体こそ、ファナモですよ。

■彼氏がドライブ中に渋滞に巻き込まれて漏らしてしまうという身も蓋もない事件とその後の別れを綴った短編小説だが、案外誰しも身につまされ、軽く感動してしまう秀作だ。そもそも、”ウンコ”とか”チン毛”などと口走りながら恋愛心理小説を書こうとする前田司郎の存在自体が人を食っている。お洒落だが空虚な幻想としての恋愛とリアルな生理に基づいた生活としての(?)恋愛を、無味乾燥な新物質ファナモと誰でもおなじみの人間の生そのものであるウンコの対比で示してるのだが、そんな対比の仕方を、普通はとらないよね!!

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