第9地区  ★★★

DISTRICT 9
2010 ヴィスタサイズ 111分
ユナイテッドシネマ大津(SC2)

第9地区 Blu-ray&DVDセット(初回限定生産)
■舞台設定のアイディアは秀逸なのだが、ドラマの構築は大味で、類型的なSFアクションに見えてしまう。脚本が大味なわりに時間は長く、CG映像の品質は凄いのだが、それだけではドラマが持たないよ。後半はアクション映画として力が入るのだが、こうした戦闘シーン自体既に見飽きたし、パワードスーツの活躍も、10年早ければ燃えたかもしれないが、今更感が拭えない。
■スラムに住むエイリアン、地下に隠した宇宙船、エイリアンに対する差別と迫害といった設定はどう考えても上原正三の「怪獣使いと少年」(『帰ってきたウルトラマン』)にしか見えないのだが、寓話としては本作の方が弱い。設定の斬新さは良かったが、フェイクドキュメンタリーにする意味があまり感じられない。そういえば金城哲夫の「来訪者を守りぬけ!」(『戦え!マイティジャック』)にも似ているような・・・どっちも監督は東條昭平なのだが、まさか南アフリカ出身の監督が円谷プロを観ているはずもないだろう。
■主人公の変身してゆく様はクローネンバーグの「フライ」を踏襲してグロテスクで表現が汚い。最近のハリウッド映画らしい、生理的嫌悪感を負の娯楽として享受しようとするマゾな感性(?)がここでも顕著で、アメリカ映画は病んでいる、といいたくなるところだが、作っている連中はニュージーランド人とか南アフリカ人なので、困るよ。世界中の娯楽映画が生理的グロ描写に染まってしまったのは全く嘆かわしいことだ。
■ドラマ的には、いかにも続編を意識したエンディングに持ってゆくために薄味になったという事情があるのだろうが、やっぱりフェイクドキュメンタリー風にする必要は無かったと思うぞ。もっと作劇に力を入れるべきだった。CGによる派手なアクションにはもう飽き飽きしているのだ。