何日君再来−イツノヒカキミカエル ★★★★

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何日君再来−イツノヒカキミカエル
2007年 日生劇場
NHKBS2 ミッドナイトステージ館
作■羽原大介 演出■岡村俊一
出演■筧利夫黒木メイサ藤原一裕石川梨華、en-Ray、ちすん、彩輝なお

■台湾が秘密裏に開発した歌う秘密兵器テレサを巡って、台湾と中国の国際紛争が、あったような無かったような現代史を織り成す異色のミュージカル活劇。”虚実皮膜の間”という作劇の基本に忠実に、羽原大介が汎アジア的な世界観を描き出すのだが、何しろ楽曲がテレサ・テンのヒットソングの数々で、外しようが無い。

■演出、演技ともに元気一杯が取り柄といった舞台で、演劇的な深みは無いが、とにかくやたらと楽しい。やたらとメリハリの効いた演出で2時間飽きさせるところがないし、なんといっても筧利夫の熱演を観ているだけで、心に気力が漲ってくる。舞台狭しと歌って踊る筧利夫の姿は時にコミカルで、時に勇ましい。主題歌をジャニーズ風の振付で熱演する場面など、その歌声は水木一郎もかくやという燃えっぷりで、名場面だ。

■対する黒木メイサも非現実的な役柄を凛々しく演じて、とにかく見栄えの派手さは他の若手女優の追随を許さない。テレサを演じるen-Rayの歌声も、テレサ本人に匹敵する歌唱力で、歌の力で舞台を支えきる。その説得力は類稀なものがある。宝塚パロディ風に登場する彩輝なおも素敵で、在日二世の出自を隠す歌謡界の女王という、なかなかテレビなどではできない役柄を堂々と演じ切って、宝塚の意地を見せる。個人的にはその女っぷりに惚れた。

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