活動屋・木村大作の春夏秋冬 現代最高の撮影者たち

衛星劇場木村大作が持っている番組を初めて観た。今回は阪本善尚、川上皓市との鼎談というスタイルだが、技術者らしく言葉少ない川上皓市にぐいぐい突っ込む木村大作がいつもの調子で可笑しい。川上皓市は木村大作とは作風も映画へのアプローチの仕方もが大きく異なるが、何故か腕を買っているらしい。
■阪本善尚は映画技術の”オモチャ好き”なので特撮とかハイビジョンとかデジタルビデオといった新ものについつい興味が沸いてしまうらしいとか、大林宣彦と別れたのも、喧嘩別れではなく、美術とコンビで世界観を作るというタイプのキャメラマンなので、お気に入りの薩谷和夫が亡くなったことや、本来処女よりも大人の女を描きたいタイプなので、大林と袂を分かった、ということらしい。
■一方、川上皓市は東陽一に映画の基礎を教わり、手本は姫田真佐久で、フレームが存在しないような撮影が理想という、阪本善尚とはタイプの違うキャメラマン。しかも、特撮や合成に関しては淡白なタイプで、役者の出ていない合成素材用の映像パーツを撮るということに我慢できないという、古風なタイプらしい。でも、個人的には柔らかなタッチが好きなキャメラマンなので、現在撮影中の「桜田門外の変」は大いに楽しみ。この映画は木村大作も撮りたかったらしいが、何故か東映系の技術スタッフのなかに川上皓市が参加しているのだ。

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